通算7枚目のアルバム『Here』も話題の西村尚美によるプロジェクト、インナー・サイエンスのもう一つのプロジェクト『アセンブルズ』の2枚目が登場!美しいコラージュの世界が広がる、プレ・アンビエントな感覚の作品となっていた第一弾に続き、今回はドラムの音色が追加され更に奥行きのあるサウンドへと進化した。世界的なアヴァン・エレクトロニクスの流れともリンクする、同時代感覚も持った注目作。
エレクトロニック・ミュージック・プロデューサー / トラックメイカー、西村尚美によるプロジェクト、Inner Science。 ヒップホップにひとつ、出自を持ちながら、電子音によるサウンドの越境はここ数年止まることを知らない。先述のアルバム 『Here』などでも、そのシンセサイザーの透明感溢れるサウンドがある意味でひとつトレードマークとなっていると言えるだろう。
メインのアルバム・リリースとともにここ1年ほどで、Inner Scienceとしての活動にはもうひとつのプロジェクトをスタート させている。そのプロジェクトとは”Assembles”。集合や組み立てなどを意味する言葉だが、ここではInner Scienceの 本流の活動とは、少々違った音楽の冒険を行っている。
そのコンセプトは自ら作りだした音楽のコラージュを主体としたエクスペリメンタルなサウンドだ。ある種、通常の音楽的な”起承転結”を排した”音”そのものを表現の軸とした作品と言えるだろう。
昨年10月にリリースされた同シリーズのファーストは『Assembles 1-4』は、電子音そのものが鳴らされる喜悦に従順な、美しいコラージュの世界が広がる、プレ・アンビエントな感覚の作品。それこそここ数年、海外でも多くの作品、それこそリイシューから最新音源までリリースされているアヴァン・エレクトロニクスの流れとも接続する、そんな同時代感覚も持った作品だ。そのサウンドを一聴すれば『Here』という作品の多彩な表現力にこの実験がどれだけ貢献しているのか、 非常にわかりやすく示されている。
“Assembles”はInner Scienceの別プロジェクトではあるが、間違いなくそれ以降のInner Scienceの音楽性を”Inner Scienceの音”とたらしめているプロジェクトであることがよくわかる。
そして本作である。『Assembles 5-8』というそのタイトル通り、”Assembles”のコンセプトを踏襲したものだ。 実験的サウンドとコラージュである。制作期間は『Here』や、『Here』に先行して自身のサイトのみでリリースされた アンビエント作の『My Little Ambient Melodies』とほぼ同時だという。
『Assembles 5-8』の特徴はなにより、そのカットアップ素材にさまざまなドラムの音色が加わったということだ。 無秩序と秩序の間、リズムからもはや解放されたドラムの音色やベースラインは、さまざまな電子音とともに、これまた “音”の単純な表現までに還元され、コラージュによる空間構成に投げ込まれる。そのサウンドは、音、そのものの欲望によって 立ち現れ、そして消える。『Here』や『My Little Ambient Melodies』にて楽曲の構成要素として捉えられる、 それ以前の”音”、そのものが放つ輝きがここには刺激的に並んでいる。
『Here』で、捉えられ、もしくは捉えられなかったInnser Science、表現の幅と自由なる戯れの音がここにある。
(河村祐介 / OTOTOY)
TRACK LIST :
01. Assemble 5 (09:41)
02. Assemble 6 (10:03)
03. Assemble 7 (10:19)
04. Assemble 8 (10:01)
05. Assembles 5-8 Component (20:31)
Inner Science プロフィール :
西村 尚美によるソロ・ユニット。浸透するように透明できらびやかな音色とメロディー、そこに拮抗する振り幅の広いリズムを 操り、色彩豊かで独特な世界観のインストゥルメンタル/エレクトロニック・ミュージックを産み出す。それら自作楽曲の音色が フロア中を満たす没入感あふれるライブと、様々な楽曲を大胆に紡ぐスタイルのDJプレイを各地で展開中。
近年では、Gonnoの10年ぶりとなるアルバム「Remember The Life is Beautiful」 収録の1曲をCrystal(TRACKS BOYS / (((さらうんど))))と共に3人で制作。また、 Black Smokerからのリリースでもおなじみのオルタナティヴ・ロック・バンド Skillkillsの「Teenage Mutant」や、See Recordingsから発表されたWhite Rainbow&Asunaによる米日コラボレーション作「A Bloody Football Clicks/ Orange Classic Skinz」のリミックス制作。奈良公園で開催されている ライトアップ・イベント「なら燈火会」内で行われた演出作品「SYSTEM of the EAST」や、開創1200年を迎える世界遺産・和歌山県 高野山の魅力に迫る インタビュー・ムービー、全面鏡張りのコンセプトカー・TOYOTA Mirror Harrier を用いた展示作品「Kaleidoscope with Mirror HARRIER」などにそれぞれ オリジナルのサウンドを提供するなど、自身のスタイルを崩す事無く媒体や空間を 問わない様々なシーンに彩りを加え続けている。
アンビエント・ミュージック集『My Little Ambient Melodies』を自身のサイトにて 2015年7月に、前作「Self Figment」以来となる最新オリジナル・アルバム「Here」 を2015年9月にリリース。
■ 2015年12月2日発売
販売価格 | 1,870円(税170円) |
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型番 | CD_IN088 |