いくつものリズムがぶつかりあい、うねり、刻々とその表情を変え続けるこのミックスCDのサウンドは、複合的なリズムの細部に明確に焦点をあわせており、そこにあらわれてくる音楽たちの幅広さ、豊かさは、地球規模の楽しさだ。
拍、節、拍子、音価、アタマ、表と裏、BPM、ビート、奇数拍子、ポリリズム...音楽における「リズム」に関する用語は無数にあるけど、それらの言葉はいまでも割と感覚的に使われていることが多くて、シンプルなものから複雑なものまで通して、体系的にこれらの用語を位置づけて使っている人はそんなに多くない。北アメリカ大陸の人たちがパーカッション・アンサンブルによる音楽を長いあいだ禁止してきたことが(そして、その切断を「ドラム・セット」という珍妙なパーカッションを発明することで覆い隠してしまったことが)その遠因であるが、体系化についてはまあどうでもいいとして、混乱している部分にこそ未来はある。いくつものリズムがぶつかりあい、うねり、刻々とその表情を変え続けるこのミックスCDのサウンドは、複合的なリズムの細部に明確に焦点をあわせており、そこにあらわれてくる音楽たちの幅広さ、豊かさは、地球規模の楽しさだ。40分前後からの手拍子のサウンドなど、空間系のエフェクトのマジックも的確で、溶ける〜!
text by 大谷能生
PROFILE :
サウンドクリエイター、音楽プロデューサー、DJ、音楽愛好家として各方面から信頼厚く、ベテランでありながらその表現の可能性はいまだ未知数である。73年頃から現在に至るまで、ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、フュージョン、ニュー・ウェイブ、パンク、レゲエ、ダブ、ラテン、ブラジル、アフロ、エレクトリック・ダンス・ミュージック全般(ハウス、テクノ、ヒップ・ホップ、エレクトロ、ブレイクビーツなどそれぞれ黎明期から)、世界各地の民俗音楽、クラシック、現代音楽、サウンド・トラック、環境音、冗談音楽、流行歌を含めたあらゆる日本の音楽など、いわゆる音楽から具体音まで古今東西のあらゆる音に興味を持ち、それら未知なる音との出会いを繰り返してきた。80年代中期より第一線でのDJ活動を続けており、アートスペース、クラブや野外音楽祭、ミュージシャンとのセッション、映像作家とのコラボレーションなど、そのアグレッシヴな表現活動は幅広く知られ、独創的な世界観は他の追随を許さない。これまで、Utsumi名義でDISORIENT, Ubiquity, SSR, Yellow Production など海外のレーベルを中心に作品をリリース。内外から高い評価を獲得している。1990年代には、「スイート・エスパニョール」全7枚他をダンスフロア向けにコンパイルするなど、当時圧倒的に情報の少なかった非英語文化圏の音楽を積極的に紹介することに情熱を注いだ。 2000年代始めには初のソロアルバム発表、2度の EURO DJ TOUR を実現、その頃から izzy 名義での実験的な表現活動も展開している。2012年に自身のレーベル Auwa Records を始動、2013年にはizzy名義での EP 、Utsumi 名義でのミニアルバムを発表するなど、その表現活動は今後も目が離せない。
■ 2013年9月25日発売
販売価格 | 1,650円(税150円) |
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型番 | CD_UT002 |